生涯未婚率の推移と2050年の日本社会── 男性3割・女性2割が未婚の時代に何が起きるか

目次

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FOLLI PARTNER RESEARCH INSTITUTE

生涯未婚率の推移と
2050年の日本社会
── 男性3割・女性2割が未婚の時代に何が起きるか

40年で男性11倍、女性4倍に膨らんだ生涯未婚率。
2050年には単独世帯が44.3%、高齢単独世帯の男性6割が未婚に。
日本社会が直面する「結婚のない人生」の集合的影響を構造的に分析する。
フォリパートナー総研 婚活業界歴20年の知見 2026年4月最新版

1980年、日本の生涯未婚率(50歳時未婚率)は 男性2.60%、女性4.45%。「結婚しない人生」は極めて稀な選択でした。しかし2020年にはこの数字が 男性28.25%、女性17.81%。わずか40年で男性は11倍、女性は4倍に膨らみ、社会の風景そのものが変わりつつあります。

国立社会保障・人口問題研究所が2024年4月に公表した「日本の世帯数の将来推計」によれば、2050年には日本の全世帯の 44.3%が単独世帯 となり、65歳以上の男性独居者の 約6割が未婚 となる見通しです。本レポートでは、フォリパートナー総研の立場から、生涯未婚率の歴史的推移と、それが2050年の日本社会にもたらす影響を、公的統計をもとに7つのステップで分析します。

CONTENTS 目次
  1. 現状把握 ─ 生涯未婚率は歴史的水準に到達した
  2. 推移の検証 ─ 40年で男性11倍、女性4倍への急上昇
  3. 構造分析 ─ なぜ生涯未婚率は上昇し続けるのか
  4. 未来予測 ─ 2040年・2050年の生涯未婚率はどこまで上がるか
  5. 社会インパクト ─ 単独世帯44.3%・独居高齢者1,084万人の日本
  6. 深刻化する副作用 ─ 孤立死・社会保障・空き家問題
  7. 提言 ─ 生涯未婚率上昇時代に個人と社会ができること
STEP 01 現状把握

生涯未婚率は歴史的水準に到達した

まず、「生涯未婚率」の定義を確認しておきましょう。国立社会保障・人口問題研究所では、「45〜49歳の未婚率」と「50〜54歳の未婚率」の平均値 を「50歳時未婚率(従来の生涯未婚率)」として算出しています。50歳以降の初婚は極めて少数(2020年人口動態調査で男性1.6%、女性0.7%にすぎない)ため、この指標は実質的に「生涯結婚しない人の割合」を示すものとして機能します。

総務省「令和2年国勢調査」(2020年)によれば、日本の生涯未婚率は 男性28.25%、女性17.81%。これは国勢調査が開始された大正時代の1920年以降、男女ともに過去最高の水準です。

2020年 男性生涯未婚率
28.25%
3〜4人に1人が生涯未婚
2020年 女性生涯未婚率
17.81%
5〜6人に1人が生涯未婚
2020年 男性未婚者総数
1,664万人
15歳以上男性の31.9%

年齢別未婚率も軒並み上昇

生涯未婚率の背後には、各年齢帯の未婚率上昇があります。2020年の国勢調査では、各年齢帯の未婚率が1980年と比べて劇的に上昇していることが示されています。

年齢別未婚率の推移(1980年 vs 2020年)
出所:総務省「国勢調査」/国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集」
25〜29歳 男性
76.4%
25〜29歳 女性
65.8%(1980年24.0%)
65.8%
30〜34歳 男性
51.8%
30〜34歳 女性
38.5%(1980年9.1%)
38.5%
35〜39歳 男性
38.5%
35〜39歳 女性
26.2%(1980年5.5%)
26.2%

特筆すべきは、35〜39歳女性の未婚率が1980年の 5.5%から26.2%へと約5倍 に増加していることです。40年前は「アラフォー女性はほぼ全員既婚」だった社会が、今や「アラフォー女性の4人に1人が未婚」という社会に変貌しています。

RESEARCH INSIGHT 総研の視点
「結婚するのが当たり前」は終わった時代

統計データが示すのは、日本社会における「結婚」が、もはや普遍的な通過儀礼ではなくなったという事実です。特に男性の3〜4人に1人、女性の5〜6人に1人が生涯未婚という現実は、従来の家族観や社会設計の前提が根本から変わりつつあることを意味します。

この変化は個人の選択の結果であると同時に、経済的・構造的な要因の反映でもあります。次のステップから、この急上昇の軌跡を詳しく見ていきましょう。

STEP 02 推移の検証

40年で男性11倍、女性4倍への急上昇

生涯未婚率の長期推移を見ると、その急上昇ぶりがいかに劇的であるかが分かります。国立社会保障・人口問題研究所の「人口統計資料集」に基づく1920年以降の推移は、以下のような軌跡を描いています。

生涯未婚率(50歳時未婚率)の長期推移
単位:%/出所:総務省「国勢調査」各年版/国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集」
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2.60
1980年
5.6
1990年
12.57
2000年
20.14
2010年
28.25
2020年
4.45
1980年
4.33
1990年
5.82
2000年
10.61
2010年
17.81
2020年

男性:1985年を境に急上昇

男性の生涯未婚率は、戦前から1980年までは 3%未満という極めて低い水準 で推移していました。結婚は男女問わずほぼ必須の人生イベントだったのです。しかし、バブル時代にさしかかる1985年に3.9%と3%を突破してから、急テンポで上昇。2020年には28.25%と、40年前の約11倍 の水準に達しています。

1985年以降のこの急上昇には、複数の社会変化が重なっています。バブル崩壊後の就職氷河期、非正規雇用の拡大、女性の社会進出と自立、恋愛観・結婚観の多様化、デフレ下での経済的不安定化──これらが複合的に作用し、男性の「結婚しない/できない」層を増やし続けました。

女性:1995年以降に急加速

女性の生涯未婚率は、1975年頃から1990年代前半までは 4〜5%でほぼ横ばい の動きでした。しかし1995年以降、急速に上昇。2020年には17.81%と、40年前の約4倍 の水準に。特に2000年代以降の上昇ペースは顕著で、「女性も結婚しない選択」が社会的に定着したことがデータから読み取れます。

「一生結婚するつもりはない」人の急増

生涯未婚率の上昇と並行して、「一生結婚するつもりはない」と考える未婚者の割合 も大きく増加しています。社人研「出生動向基本調査(独身者調査)」(対象は18〜34歳未婚者)によれば、以下のような変化が見られます。

調査年 男性(結婚意思なし) 女性(結婚意思なし) 変化
1987年 4.5% 4.6% ベースライン
2005年 7.1% 5.6% 緩やかに上昇
2015年 12.0% 8.0% 顕著な上昇
2021年 17.3% 14.6% 過去最高を更新

1987年には男女とも5%程度だった「結婚意思なし」の割合は、2021年には 男性17.3%、女性14.6% まで上昇。実に30年で男性は約4倍、女性は約3倍に増加しています。「結婚したいが結婚できない」のではなく、「初めから結婚を選ばない」という意思を持つ若者が着実に増えている のです。

国際比較:日本の特殊性

日本の生涯未婚率の上昇ペースは、国際的に見ても特異です。欧米諸国でも未婚率は上昇していますが、欧米では未婚でもパートナーと同居(事実婚)し子を持つケースが多い ため、日本と単純比較はできません。

日本では、法律婚以外での出産(婚外子)の割合が全出生の約2%にとどまり、OECD諸国平均の約40%と比べて極端に低い水準です。つまり、日本では「未婚」がそのまま「子のいない人生」とほぼ同義になりやすい構造があります。この点が、生涯未婚率の上昇が出生率低下に直結している日本特有の事情です。

都道府県別に見た生涯未婚率のばらつき

生涯未婚率は地域によっても大きな差があります。2020年の都道府県別データでは、男性で最も高いのは東京都、以下埼玉県、神奈川県、千葉県、岩手県、高知県が続きます。女性では東京都、高知県、大阪府、北海道、京都府、福岡県が上位です。

興味深いのは、「未婚の男余り」が深刻な福島・茨城・栃木といった北関東エリアと、「生涯未婚率が高い」東京都が、まったく異なる構造 を持っていることです。北関東では女性の大都市流出によって男性に未婚が集中し、東京では競争激化と出会いの複雑化によって男女とも未婚率が上昇する──同じ「未婚化」でも、地域によって原因は大きく異なるのです。

◆ ◆ ◆
STEP 03 構造分析

なぜ生涯未婚率は上昇し続けるのか

この40年にわたる生涯未婚率の上昇には、明確な構造的要因が存在します。複数の要因が絡み合い、相互に強化し合う「負のスパイラル」が形成されているのです。

要因① 経済構造の変化と若年男性の所得停滞

1985年以降の生涯未婚率上昇は、バブル崩壊と就職氷河期に重なります。特に 男性の低所得層では未婚率が急上昇 しており、内閣府『令和4年版少子化社会対策白書』によれば、30代後半男性で年収300万円未満の層の有配偶率は約30%にとどまります。これは日本社会に根強く残る「男性が家計を支えるべき」という価値観と、経済停滞の組み合わせが生んだ現象です。

doda 2024年調べでは、日本の30代男性の平均年収は約454万円。つまり 「平均的な男性」ですら、結婚に経済的な不安を抱える水準 にあります。これが結婚を躊躇する大きな要因となっています。

要因② 女性の経済的自立と選択肢の多様化

女性側の変化も大きく影響しています。1985年の男女雇用機会均等法以降、女性の社会進出が本格化し、経済的に自立できる女性が増えました。結果として、「経済的安定のために結婚する」という動機が弱まり、「結婚しないという選択」が現実的な選択肢となったのです。

IBJ成婚白書2024年度版でも、女性の年収による成婚率の差はほとんど見られない ことが示されています。つまり、女性にとって年収の高さは成婚の決め手にはならず、「結婚するかしないかは自分の意思次第」という構造が明確化しています。

要因③ 出会いの機会の構造的減少

かつては職場、お見合い、親族・地域のネットワークが結婚相手を見つける主要なルートでした。しかし、これらのルートは近年大きく弱体化しています。

職場での出会いは非正規雇用の増加で分断され、お見合い文化はほぼ消滅し、地域コミュニティは希薄化しました。結果として、若者が「結婚したい相手」と自然に出会う機会が激減 しています。マッチングアプリなどの新しいルートも登場しましたが、真剣度の低さやミスマッチの多さから、必ずしも結婚に結びつくとは限りません。

要因④ 価値観の多様化と「結婚しないことへの許容」

社会全体として、「結婚しないことへの社会的圧力」が大幅に減少しました。かつては「結婚していないと一人前ではない」という周囲の目線がありましたが、現代では「個人の選択」として尊重される傾向が強くなっています。

この変化自体は望ましい側面もありますが、結果として 「結婚するハードル」が以前より高く感じられやすく、「積極的に動かなければ結婚しないまま過ぎていく」という状態に陥る人が増えています。

要因⑤ 男女の希望のミスマッチ

結婚を望む男女の希望条件にもミスマッチが顕在化しています。女性は「年収600万円以上」「安定した職業」「年齢差±3歳以内」といった条件を求めがちですが、結婚相談所で活動する男性でこの条件を満たす割合は限定的です。また男性も、女性の年齢に強いこだわりを持つケースが多く、双方の希望が噛み合わないまま時間だけが過ぎていきます。

要因⑥ 「団塊ジュニア世代」の未婚高齢化

日本の生涯未婚率上昇を決定づけたのは、団塊ジュニア世代(1971〜74年生まれ)の未婚化 でした。この世代は戦後最多の出生数を記録した厚い世代ですが、就職氷河期に直撃され、非正規雇用の拡大と所得不安定化の影響を最も強く受けた世代でもあります。

現在50代前半のこの世代の生涯未婚率は、男性で約25%、女性で約17%に達しています。そして2050年には彼らが75歳以上の後期高齢者となり、大量の「未婚の高齢者」として日本社会の人口構造の中心 を占めることになります。団塊ジュニア世代の結婚機会の逸失が、後の日本社会の風景を決定づけたと言えるでしょう。

要因⑦ コロナ禍の影響と回復後の遅れ

2020〜2022年のコロナ禍は、婚活市場に深刻な打撃を与えました。2021年の婚姻数は前年比9%減、2022年は4%減と、2年連続で大幅に減少。この時期に婚期を逃した人の一部は、その後も結婚に戻れず、生涯未婚化する可能性が指摘されています。

2024〜2025年には婚姻数が回復し始めていますが、これはコロナ禍で先送りされた結婚の反動と、1990年代前半生まれの厚い世代が婚活期を迎えていることによる一時的な現象。根本的な生涯未婚率上昇トレンドは変わっていません。

RESEARCH INSIGHT 総研の視点
「結婚したくない」ではなく「結婚できる構造が失われた」

婚活の現場で感じるのは、生涯未婚率が上昇しているのは「若者が結婚したがらないから」ではなく、「結婚に辿り着くための社会的な仕組みが機能不全に陥っているから」 という側面が大きいということです。

社人研の調査でも、18〜34歳未婚者のうち「いずれ結婚するつもり」と答える割合は男女とも約8割を維持しています。つまり、大多数の若者は結婚意欲を持っているのに、何らかの構造的要因で結婚に至らずに生涯未婚化していく──これが現代日本の姿なのです。

STEP 04 未来予測

2040年・2050年の生涯未婚率はどこまで上がるか

この上昇トレンドは、今後どこまで続くのでしょうか。国立社会保障・人口問題研究所は、既存のコーホートデータ(世代別の未婚率の変化)をもとに将来推計を行っています。

公式推計:2040年までに男性3割突破

社人研による将来推計(2015年国勢調査データに基づく推計)では、2040年の生涯未婚率は男性29.5%、女性18.7%とされています。しかし2020年時点ですでに男性28.25%、女性17.81%に達しているため、公式推計の想定ペースよりも現実はやや早く進行 していると見られます。

男性生涯未婚率 女性生涯未婚率 ポイント
2020年(実績) 28.25% 17.81% 男性は4分の1超
2030年(推計) 約28〜29% 約18〜19% ほぼ横ばい〜微増
2040年(推計) 約30%超 約20% 男女とも節目を突破
2050年(推計) 約30%超 約20%超 高止まり継続

「2050年に下降」シナリオの落とし穴

一部の公式推計では、2040年から2050年にかけて生涯未婚率がわずかに下降するとされています。しかしこれは、「2000年代以降生まれの若年層の結婚率が回復する」という楽観的な前提 に基づいた計算です。

人口統計学者の荒川和久氏は、「2050年時点で50歳ということは、2000年生まれで、2024年時点で24歳。あと数年で初婚ボリュームゾーンに達する世代だが、彼らが急に結婚を増やす兆候は見えない」と指摘しています。実際、初婚数は近年マイナスを続けており、2050年の生涯未婚率がさらに上昇する可能性 も否定できません。

生涯未婚率上昇の「自動メカニズム」

生涯未婚率の上昇には、独特の「自動メカニズム」があります。20〜30代で結婚を先送りにした人の多くは、40代に入ると「もう結婚しなくていい」という認知的不協和からの「選択的非婚」状態に入ります。つまり、一度先送りにした結婚は、再活性化することが極めて難しいのです。

荒川氏は「『結婚したい・子どもがほしい』と前向きな未来を描いていた20代未婚男女も、30代までに結婚に至らない『不本意未婚』のままで居続けると、40歳を過ぎて『もう結婚はしなくていいや』という認知的不協和からの『選択的非婚』に転じる」と指摘しています。これが、一度上昇した生涯未婚率が下がりにくい構造的な理由です。

世代別コーホートで見る生涯未婚率の確定

生涯未婚率は「世代の特性」によって決まる側面が強く、一度ある世代の結婚機会が失われると、その世代の生涯未婚率は高止まりし続けます。以下は、出生コーホート別に見た将来の生涯未婚率の推計です。

出生世代 2020年時点の年齢 生涯未婚率(推計) 世代の特徴
団塊ジュニア(1971-74年生) 46-49歳 男25% 女17% 就職氷河期直撃
ポスト団塊ジュニア(1975-80年生) 40-45歳 男28% 女18% バブル崩壊後社会
1980年代前半生 35-40歳 男30%台 女20%前後 デフレ・低成長
1990年代前半生 25-30歳 男30%台 女20%超も コロナ禍の影響
2000年代生まれ 20歳以下 不確実 今後の動向次第

この表が示すのは、今から生涯未婚率を劇的に下げるのは極めて困難 ということです。2050年の生涯未婚率を決めるのは、現在20代後半〜30代前半の世代の行動であり、この世代の結婚機会をどう確保するかが、日本社会の今後を左右します。

STEP 05 社会インパクト

単独世帯44.3%・独居高齢者1,084万人の日本

生涯未婚率の上昇は、単に「結婚しない人が増える」だけでは終わりません。社会全体の世帯構造を根本から変え、2050年の日本は現代とは全く異なる姿になります。

2050年:全世帯の44.3%が単独世帯に

国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(令和6年推計)」(2024年4月12日公表)は、驚くべき未来像を示しています。

2050年 単独世帯割合
44.3%
2020年38.0%から6.3pt上昇
2050年 単独世帯数
2,330万世帯
2036年に2,453万世帯でピーク
2050年 平均世帯人員
1.92
2033年に2人を割り込む

2050年、日本の総世帯数は2020年の5,570万世帯から5,261万世帯へと減少しますが、そのうち 2,330万世帯(44.3%)が単独世帯 となります。つまり、2世帯に1世帯弱が一人暮らし という社会です。

平均世帯人員は、2033年に初めて2人を下回り1.99人に、2050年には1.92人 にまで減少。もはや「家族」という単位が統計的にも希少な存在となります。27都道府県で単独世帯が4割超となり、大都市圏だけでなく地方でも世帯の単独化が進みます。

高齢単独世帯の爆発的増加

単独世帯の増加は、実質的には 「高齢者の一人暮らしの増加」 を意味します。2050年には、65歳以上の単独世帯は 1,084万世帯 と、2020年の約1.5倍に達します。このうち 704万世帯が75歳以上の単独世帯 です。

2020〜2050年:高齢者の独居率の推移
出所:国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(令和6年推計)」
65歳以上男性(2020年)
16.4%
16.4%
65歳以上男性(2050年)
26.1%
65歳以上女性(2020年)
23.6%
23.6%
65歳以上女性(2050年)
29.3%

2050年には、65歳以上男性の4人に1人、女性の3人に1人が一人暮らし になります。特に男性の独居率上昇が顕著で、2020年から2050年の間に10ポイント近く上昇します。これは、男性の生涯未婚率上昇が時間差で高齢期に反映されるためです。

高齢単独世帯の男性6割が未婚に

最も衝撃的な数字は、「高齢単独世帯に占める未婚者の割合」 です。2020〜2050年の間で、この割合は劇的に変化します。

属性 2020年(実績) 2050年(推計) 変化
高齢単独世帯男性 未婚率 33.7% 59.7% +26.0pt
高齢単独世帯女性 未婚率 11.9% 30.2% +18.3pt
65歳以上男性未婚者 124万人 380万人 約3倍
65歳以上女性未婚者 99万人 317万人 約3倍

2050年、一人暮らしの高齢男性の約6割(59.7%)が未婚、つまり生涯一度も結婚したことがないという状態になります。従来の独居高齢者は「配偶者と死別した人」が多数でしたが、これからは「生涯独身のまま高齢化した人」が主流となるのです。これは日本社会が経験したことのない新しい現象です。

団塊ジュニアが75歳以上となる2050年

2050年の日本で特に注目すべきは、団塊ジュニア世代(1971〜74年生まれ)が全員75歳以上 となることです。この世代は戦後最多の出生数を記録した厚い世代ですが、就職氷河期に直撃され、生涯未婚率も男性で約25%、女性で約17%と高い水準にあります。

つまり、2050年の日本は 「大量の未婚の後期高齢者」を初めて経験する社会 となります。これまでの日本社会では、高齢化しても配偶者や子が支える構造がありましたが、団塊ジュニア世代の多くは配偶者も子もいない状態で超高齢期を迎えます。社会的支援の受け皿は、急速に整備する必要があります。

世帯構成の劇的変化

世帯構成も大きく変化します。2020年には「夫婦と子」世帯が全体の25.2%(1,401万世帯)を占めていましたが、2050年には21.5%(1,130万世帯)へと減少。一方、「夫婦のみ」世帯も1,121万世帯から995万世帯へと減少します。

増加するのは単独世帯だけで、2020年の2,115万世帯から2036年にピークの2,453万世帯まで増加し、その後2050年には2,330万世帯となります。つまり、日本の世帯構造は「家族の集合体」から「一人暮らしの集合体」へと大転換 するのです。

STEP 06 深刻化する副作用

孤立死・社会保障・空き家問題

生涯未婚率の上昇と、それに伴う高齢独居者の急増は、日本社会に複数の深刻な課題をもたらします。これらは既に顕在化しつつあり、2050年に向けてさらに深刻化する見込みです。

副作用① 孤立死の増加

警察庁が2025年4月に公表した初の集計によれば、2024年に一人暮らしの自宅で亡くなった人は 7万6,020人、うち 5万8,044人(76.4%)が65歳以上 でした。

さらに内閣府の「孤独死・孤立死の実態把握に関するワーキンググループ」が2025年にまとめた最終報告では、「死後8日以上経過して発見された」ケースを「孤立死」と定義し、2024年には 2万1,856人 が該当すると推計しました。「死後4日以上」まで基準を広げれば 3万1,843人 にのぼります。

2024年 自宅での一人暮らし死亡
7.6万人
警察庁・初集計
うち65歳以上
5.8万人
全体の76.4%
2024年 孤立死(8日以上)
2.2万人
内閣府推計

2050年に高齢単独世帯が1,084万世帯に膨らめば、孤立死の件数はさらに増加する可能性が高いです。特に問題なのは、未婚の高齢者は「頼れる親族」が少ない ということ。日本総合研究所の分析によれば、独居高齢者のうち 子がいない人が29% を占め、これは2050年にはさらに増加します。

副作用② 社会保障制度への圧迫

高齢未婚者の急増は、社会保障制度にも大きな影響を与えます。従来、介護が必要になった高齢者は、まず配偶者や子が支援役を担う構造でした。しかし 配偶者も子もいない高齢者が急増 すれば、公的サービスへの依存度が劇的に高まります。

特に医療・介護の意思決定支援、入院時の身元保証人、死後の対応(葬儀・遺品整理)など、これまで家族が担ってきた機能が、すべて公的システムや民間サービスに置き換わる必要があります。これは膨大な社会コストを意味します。

年金制度への影響も無視できません。生涯未婚者の多くは遺族年金を残す相手がいないため、制度上の歪みも生じます。また、未婚・子なしの高齢者が生活保護に頼るケースも増加する見込みです。

副作用③ 85歳以上「子のいない」高齢者が19.5%に

日本総研の試算によれば、2050年には 子のいない高齢者が1,049万人 に達し、これは2020年の1.9倍です。特に死亡者数全体の半分超を占める85歳以上の層では、子がいない人の割合が 2020年の1.4%から2050年には19.5% へと激増します。

つまり、2050年には 85歳以上の5人に1人は「子がいない」 状態で亡くなることになります。この層への介護・医療・終末期ケアの提供は、社会全体で新しい仕組みを構築しなければ対応しきれません。

副作用④ 空き家問題と地域社会の崩壊

単身高齢者が亡くなると、その住居はしばしば空き家となります。相続する配偶者や子がいないため、物件の処分が長期化し、地域の空き家問題をさらに深刻化させます。2024年時点で日本の空き家は約900万戸(総住宅数に占める13.8%)ですが、2050年にはこれがさらに大きく増加する見込みです。

空き家は防犯上・防災上の懸念だけでなく、地域コミュニティの崩壊を象徴する存在でもあります。独居高齢者の増加と空き家の増加は、日本の地方の風景そのものを変えていきます。

副作用⑤ 世代間支援の崩壊

日本の家族システムは、子が親を支え、親が子を支えるという世代間の相互扶助を前提に設計されてきました。しかし、未婚・子なしの層が急増する2050年の日本 では、この前提そのものが崩れます。

これは、高齢者支援の仕組みだけでなく、若年世代の価値観や生活設計にも大きな影響を与えます。「自分は結婚するのか」「子どもを持つのか」「持たないまま高齢化したらどう生きるのか」──すべての世代が、これまでにない問いと向き合うことになります。

◆ 2050年の日本社会:5つの現実

 全世帯の44.3%が単独世帯、27都道府県で単独世帯が4割超

 65歳以上の独居者が1,084万人、うち75歳以上が704万人

 一人暮らし高齢男性の6割、女性の3割が未婚

 85歳以上の5人に1人が「子がいない」状態で亡くなる

 孤立死は年間数万人規模で継続し、さらに増加の懸念

STEP 07 提言

生涯未婚率上昇時代に個人と社会ができること

ここまで見てきたように、生涯未婚率の上昇は、個人の選択の集積であると同時に、社会全体の大きな構造変化でもあります。この変化は止まらないものの、個人としても社会としても、備えることは可能です。

個人への提言① 「結婚するかしないか」を能動的に選ぶ

これまでは「結婚するのが当たり前」だった時代から、現代は「結婚を選ぶ」時代へと変化しました。これは自由度が増した一方で、「自分がどうしたいかを能動的に決めなければならない」 というプレッシャーでもあります。

「なんとなく結婚したい」「いつかできるだろう」と考えているうちに、時間が経過して生涯未婚に至るケースは非常に多いです。生涯未婚率の自動メカニズムに飲み込まれないためには、20代後半〜30代前半のうちに、結婚についての自分の意思を明確化し、行動を起こす ことが重要です。

個人への提言② 結婚を選ぶなら「早期の行動」が鍵

20〜30代で結婚を先送りにした人が、40代に入ると「選択的非婚」状態に移行するという研究があります。つまり、一度先送りにした結婚は再活性化しにくいのです。結婚を希望しているなら、30代前半までに婚活を本格化させる のが最も合理的です。

結婚相談所を活用すれば、半年〜1年以内の成婚が十分可能です。IBJ成婚白書2025年によれば、成婚者の平均お見合い回数は11回、交際から成婚までは約4ヶ月。30代前半までに結婚相談所に登録すれば、30代のうちに成婚することは十分現実的です。

個人への提言③ 「結婚しない人生」も計画的に設計する

意思を持って「結婚しない」を選ぶ場合、老後の生活設計は一般とは異なる配慮が必要です。配偶者・子に頼れない分、経済的な備え、住居の選定、医療・介護の準備、終末期の意思表示(リビングウィル)、遺言や財産管理の委任 などを、早い段階から計画的に進める必要があります。

近年は、身寄りのない高齢者向けの身元保証サービス、見守りサービス、死後事務委任契約など、独身を前提とした民間サービスが増えています。これらを上手に活用することで、「結婚しない人生」を安心して全うすることも可能です。

個人への提言④ 「繋がり」を意識的に作る

結婚するかしないかに関わらず、「人との繋がり」を意識的に維持することは、生涯未婚率上昇時代において極めて重要です。家族以外にも、友人、趣味仲間、地域コミュニティ、職場の繋がりなど、複数の支えあいネットワークを早い段階から築いておく ことが、将来の孤立死リスクを下げる最大の対策です。

特に男性は、退職後に社会的なつながりが急減する傾向があります。現役時代から趣味や地域活動などで「仕事以外の繋がり」を維持することが、長い老後を安心して過ごすための基盤となります。

社会への提言① 若年層の結婚支援を社会インフラとして強化

生涯未婚率の上昇は、個人の問題ではなく社会的な課題です。こども家庭庁の「こども未来戦略」は子育て支援に重点を置いていますが、「結婚に至るまでの支援」への政策資源配分は依然として薄い のが現状です。

自治体による結婚支援、若年層の所得向上、教育費の軽減、住宅政策など、結婚の経済的ハードルを下げる複合的な政策が必要です。また、結婚相談所業界との連携を強化し、「結婚したいが出会えない」層への支援ルート を整備することも急務です。

社会への提言② 単身高齢者を前提とした社会設計

2050年に単独世帯が44.3%になる未来は、もはや避けられません。したがって、単身者を前提とした社会インフラの再設計 が必要です。具体的には、単身者向け住宅の整備、見守り・緊急対応システムの充実、身元保証の公的仕組み、孤立死を防ぐ地域見守りネットワークなどです。

高齢者の一人暮らしが当たり前になる社会では、「家族に頼る」前提を外した社会設計が不可欠。これは単に高齢者福祉の話ではなく、日本社会の構造的転換を意味します。

社会への提言③ 「結婚しない」への偏見をなくしつつ、「結婚したい」を支援する

多様な生き方を尊重することは重要ですが、同時に「結婚したい」という希望を持つ人を支える仕組みも必要です。多様性の尊重と、結婚希望者への支援は両立可能 です。「結婚しないと幸せになれない」という古い価値観は捨てつつ、「結婚したい人が結婚できる社会」を作ることは、社会全体の幸福度を高めます。

RESEARCH INSIGHT 総研の総括
生涯未婚率の上昇は「結果」にすぎない

生涯未婚率の急上昇と2050年の社会像は、一見すると衝撃的な数字の羅列です。しかし、これらはすべて 「個人の選択の集積」 が生んだ結果にすぎません。つまり、未来は決まっているのではなく、今の私たち一人ひとりの行動で変わり得る ものです。

結婚を希望する若者が、実際に結婚できる社会にすること。結婚しないことを選ぶ人が、安心して生涯を全うできる仕組みを作ること。この両輪で、2050年の日本社会を少しでも明るいものにすることが、私たちの世代に課された課題です。

フォリパートナーは、20年以上の婚活支援の経験を通じて、一人でも多くの方が「自分が望む人生」を選択できるよう、真摯にサポートを続けてまいります。生涯未婚率という大きな潮流の中で、個人の幸せを一つずつ積み上げていく──それが私たちの使命だと考えています。

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REFERENCES 参考資料・引用元
  • 総務省統計局「令和2年(2020)国勢調査」2020年
  • 国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(全国推計)令和6(2024)年推計」2024年4月12日公表
  • 国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集2025」
  • 国立社会保障・人口問題研究所「第16回出生動向基本調査(独身者調査)」2022年
  • 国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(令和5年推計)」2023年4月公表
  • 内閣府「令和4年版 少子化社会対策白書」2022年
  • 内閣府「孤独死・孤立死の実態把握に関するワーキンググループ最終報告」2025年
  • 警察庁「警察取扱死体のうち、自宅で死亡した1人暮らしの人(令和6年)」2025年4月11日公表
  • 日本総合研究所 岡元真希子「頼れる親族がいない高齢者が今後急増」2024年4月15日
  • nippon.com「団塊ジュニアが独居老人となる未来:高齢単身世帯が全世帯の2割超に」2026年1月
  • 日本少額短期保険協会「第9回孤独死現状レポート」2024年12月
  • 厚生労働省「令和6年(2024)人口動態統計(確定数)の概況」2025年9月16日公表
  • 株式会社IBJ「2025年 IBJ 成婚白書」2026年4月9日公表

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