結婚してもエッチをしたくない女性は増えている?
20代の性意識と婚活現場のリアル
結婚相談所を16年以上経営する中で、ここ数年「結婚はしたいが、性交渉には積極的になれない」と話す20代女性の相談が目立つようになったと感じています。
01結婚してもエッチをしたくない20代女性は本当に増えているのか
結論から言うと、性交渉を積極的に望まない若年女性が一定数存在することは、複数の調査から確認できます。一方で、「ここ数年で20代女性のこの層が明確に増加した」と証明できる時系列データは、現時点では十分とは言えません。ただし結婚相談所の現場では、こうした希望をはっきり言葉にする女性が、以前より目立つようになったという実感があります。
Q. 結婚しても性交渉をしたくない20代女性は増えているのか?
A. 性交渉を積極的に望まない若年女性が一定数存在することは調査から確認できます。一方、20代女性の中でここ数年に明確に増加したと証明できる時系列データは十分ではありません。ただし、結婚相談所の現場では、その希望をはっきりと言葉にする女性が以前より目立つようになったという実感があります。
本記事では、統計として確認できる事実と、現場で感じている変化を意図的に分けて説明します。数字を大げさに扱うことも、現場の実感を軽視することも避け、両方を公平に伝えることを心がけます。
02調査で見えてくる、性交渉に積極的でない若年層の実態
一般社団法人日本家族計画協会が、ジェクス株式会社の依頼を受けて実施した「【ジェクス】ジャパン・セックス・サーベイ2024」(2023年11月14日~17日実施、全国18~69歳の男女5,029人対象、インターネットリサーチ)では、性に関する具体的な実態が示されています。
- 性交渉の経験があると回答した割合は、男性80.8%、女性83.5%
- 直近1年以上、性交渉がない(セックスレス)と回答した割合は、男性45.3%、女性52.8%
- 性交渉をしたいと思っている男性は全体で8割を超える一方、10~20代に限ると63.4%にとどまる
- 女性の4割以上が「セックスがなくてもよい」と回答
- 2020年の前回調査と比較して、性交渉の経験がない男女が増加している
ここで注意したいのは、「したいと思わない」ことと「生涯一切したくない」ことは同じ意味ではないという点です。年齢やその時々の状況によって気持ちが変化する人も多く、一時点の回答だけで固定的な性質と決めつけることはできません。また、この調査は2020年との比較はできても、それ以前の数十年単位の推移までは示していないため、「近年急激に増えた」と断定する根拠としては使えません。
03「子どもをつくるためだけ」という考え方は珍しいのか
性交渉をする目的には、性的快楽、愛情表現、相手から求められるから、妊娠のためなど、複数の理由が存在します。同調査では、女性が「相手を気持ちよくさせたい」という意向を常に持っていると回答した割合が10~20代で22.9%にとどまるなど、男女で性交渉への向き合い方に違いがあることが示されています。
これは「女性には性欲がない」と一般化できるものではありません。相手や状況によって気持ちが変わる人、そもそも性的な関心が薄い人、愛情はあっても性的欲求と結びつかない人など、背景は多様です。婚活現場でも、「好きな人となら大丈夫」という女性もいれば、「好きでもしたいと思えない」という女性もおり、一括りに語ることはできません。
04結婚相談所の現場で感じる、ここ数年の変化
結婚相談所を16年以上経営し、数万人以上の恋愛・婚活相談に携わってきた立場として、正直な実感をお伝えします。結婚相談所では成婚前の男女交際において性交渉は禁止としているため、直接的な性生活の相談を受けるわけではありませんが、恋愛観や結婚後の生活に関する相談の中で、性的なスキンシップに関する希望を話す女性は、以前より確実に増えています。
統計上、20代女性のこの層が何年間で何ポイント増えたと断言できる資料は、現時点では十分ではありません。しかし、入会時や交際中の面談で、性交渉を望まないことを明確に言葉にする女性が、以前より目立つようになったと感じています。これは「実際に人数が増えた可能性」と「以前からいたが、言葉にできるようになった可能性」の両方が考えられ、どちらか一方に断定することはできません。
具体的には、「結婚はしたいが、性交渉はしたくない」「子どもは欲しいが、性交渉は妊娠のためだけでよい」「ハグや手をつなぐことはできるが、性的な接触には抵抗がある」「結婚後も別々の寝室で過ごしたい」といった希望を、入会時のカウンセリングや交際中の相談で率直に話してくれる女性が増えている印象があります。以前は、こうした希望があっても言葉にせず、我慢したまま結婚を選ぶ、あるいは結婚自体を諦めるという選択をする方が多かったように思います。
結婚と出産を望んでいますが、性交渉は妊活目的以外ではあまり望んでいません。ハグや手をつなぐことには抵抗がないとのことでした。カウンセラーとして、この希望を「わがまま」と評価するのではなく、どの段階でどう伝えるかを一緒に整理しました。
交際相手から「結婚後は性交渉をしたくない」と伝えられ、相手のことは好きだが結婚を決めてよいか迷っていました。性交渉を求めること自体は不自然な希望ではないと伝えたうえで、相手の希望との折り合いをどう探るかを一緒に考えました。
自分が性交渉に苦手意識を持っていることを、嫌われるのが怖くて伝えられずにいました。成婚が近づくにつれて不安が強くなっていったため、カウンセラーが間に入り、伝え方を一緒に考える形でサポートしました。
いずれの事例も、どちらが正しい、どちらが悪いという話ではありません。重要なのは、価値観の違いに気づいたときに、それを話し合える関係を築けるかどうかです。
05若い女性が性交渉を望まない理由
「性交渉をしたくない」という言葉の背景には、実に多様な理由があります。一括りにせず、以下のように分けて考える必要があります。
性欲や性的関心がそもそも弱い
性欲の強さには個人差があり、生まれつき性的な関心が薄い人もいます。これは病気でも異常でもなく、一つの個性として理解する必要があります。恋愛感情の強さや、パートナーへの愛情の深さとは直接関係がありません。
妊娠・性感染症・避妊への不安
妊娠や性感染症のリスクへの不安から、性交渉に消極的になる人もいます。第16回出生動向基本調査(国立社会保障・人口問題研究所、2021年調査・2022年9月公表)によると、性経験のある18~34歳の未婚男女のうち、直近の性交渉で避妊を実行したと回答した割合は男性89.1%、女性87.4%で、避妊への意識自体は高い水準にあります。避妊を徹底していてもなお不安が残る人にとって、性交渉そのものへのハードルは高くなりがちです。
性交痛や身体的な苦痛
性交痛など身体的な苦痛を伴う場合、性交渉そのものへの抵抗感が強まることがあります。前述のジャパン・セックス・サーベイ2024でも、性交痛のある人は満足度が低い傾向が示されている一方、対策をしている人の割合は低いことが報告されています。身体的な苦痛は我慢すべきものではなく、婦人科などで相談できる課題であることも知っておく必要があります。
身体を見られることへの抵抗、過去の経験や心理的な不安
体型への自信のなさや、過去の嫌な経験、心理的なトラウマが背景にあるケースもあります。こうした不安は、時間をかけた信頼関係の構築によって和らぐこともあれば、専門的なケアが必要な場合もあります。
恋愛感情と性的欲求が一致しない
相手を好きな気持ちと、性的に触れたいという欲求は、必ずしも連動しません。この不一致に戸惑う人は少なくありません。「好きなのに、なぜ性交渉に積極的になれないのか」と自分を責めてしまう方もいますが、これは特別なことではなく、多くの人が経験し得る自然な感覚のズレです。
アセクシュアル・ノンセクシュアルというあり方
他者に対して性的な魅力を感じにくい「アセクシュアル」、恋愛感情はあっても性的欲求を伴わない「ノンセクシュアル」といったセクシュアリティも存在します。これらは治療すべき対象ではなく、一つのあり方として尊重される必要があります。近年、こうした概念がSNSなどを通じて広く知られるようになったことも、自分の感覚を言葉にしやすくなった一因と考えられます。
性交渉以外の愛情表現を重視している
会話や一緒に過ごす時間、ハグなど、性交渉以外の形で愛情を確認したいと考える人もいます。愛情表現の形は一つではなく、性交渉を伴わない関係性にも十分な満足感を得られる人がいることを理解しておく必要があります。
疲労やストレス、服薬、ホルモンバランスなど身体的な要因が影響している場合もあります。医学的な診断はカウンセラーの領域ではないため、強い不安や身体的な苦痛がある場合は、婦人科、泌尿器科、心療内科など専門機関への相談を選択肢として持っておくことをおすすめします。
06なぜ現代の若年女性が言葉にするようになったのか
性交渉に消極的な女性自体は、以前から一定数存在していたと考えられます。では、なぜ近年、その希望を言葉にする女性が目立つようになったのでしょうか。単一の原因に断定することはできませんが、以下のような要因が重なっている可能性があります。
- 性的同意への意識が社会全体で高まり、「結婚しても性交渉に応じる義務はない」という認識が広がったこと
- SNSを通じて、アセクシュアルやノンセクシュアルなど多様なセクシュアリティの概念が知られるようになったこと
- 女性が自分の結婚条件や身体的な希望を、以前より言語化しやすい社会的空気になったこと
- 妊娠・避妊・性感染症・性交痛といった負担が、SNSやメディアを通じて可視化されるようになったこと
- 恋愛・結婚・出産・性交渉を一つのセットとして捉えない価値観が広がっていること
- 経済的に自立して一人でも生活できる女性が増え、従来型の夫婦像に無理に合わせる必要性が下がったこと
- 動画配信サービスやゲームなど、一人の時間を充実させるコンテンツが増え、対人関係や性行動の優先順位が相対的に下がった可能性
- 感染症の拡大以降、人との身体的な接触に対する意識そのものが変化したこと
これらはあくまで可能性の提示であり、どれか一つが唯一の原因と断定できるものではありません。「言葉にできるようになった」という変化自体は、必ずしも悪いことではなく、結婚前に価値観のミスマッチに気づける機会が増えたとも捉えられます。
07スキンシップと性交渉は分けて確認する
手をつなぐ、ハグ、キス、添い寝、同じ寝室で寝る、裸を見せる、性的な接触、性交渉——これらは連続した一つのものではなく、それぞれ独立した価値観として確認する必要があります。「性交渉はしたくないが、ハグは好き」という人もいれば、「身体的な接触全般が苦手」という人もいます。
| 行為 | 自分の希望(記入例) | 相手の希望(記入例) | 話し合いが必要な点 |
|---|---|---|---|
| 手をつなぐ・腕を組む | 問題ない | 問題ない | 特になし |
| ハグ | 好き | 好き | 頻度の違い |
| キス | 場合による | 好き | タイミング |
| 添い寝・同室 | 希望する | 希望する | 就寝リズムの違い |
| 性的な接触・性交渉 | 消極的 | 積極的 | 頻度・回数・伝え方 |
| 妊活目的の性交渉 | 応じられる | 応じられる | 期間・方法の合意 |
| 不妊治療・人工授精 | 検討したい | 検討したい | 費用・通院負担 |
| 子どもを持たない選択 | 未定 | 未定 | 将来設計全体 |
08これは女性だけの問題ではない
性交渉に積極的でない層は、女性に限った話ではありません。前述の調査でも、性交渉をしたいと思っている男性は全体で8割超である一方、10~20代男性に限ると63.4%にとどまっており、若年男性にも消極的な層が一定数存在することが分かります。恋愛や交際そのものを望まない若者も男女双方にいます。第16回出生動向基本調査によると、18~34歳の未婚者のうち「恋人と交際中」と回答した割合は男性21.1%、女性27.8%で、いずれも交際を望まない人が3人に1人存在すると報告されています。
「男性は性的に積極的であるべき」という固定観念も、実態とは必ずしも一致しません。男女双方の性意識が変化している中で、女性側の変化だけを取り上げて語ることは公平ではありません。
09男女双方の本音——公平に見る苦悩
性交渉を望む側にも、望まない側にも、それぞれの苦悩があります。
性交渉を大切にしたい側(多くの場合、性交渉を求める側)は、「愛情表現として大切にしたい」「拒否され続けると自分を否定されたように感じる」「子どもをつくるためだけの性交渉には寂しさを感じる」「欲求を伝えると加害者のように扱われるのが怖い」といった思いを抱えることがあります。ただし、性交渉を求める気持ちがあることと、相手の同意なく行為に及んでよいことはまったく別の問題です。この点は明確に区別する必要があります。
一方、性交渉に消極的な側は、「好きな相手でも性交渉をしたいと思えない」「断ると嫌われるのではないか」「結婚できなくなるのではないか」「我慢して応じるべきなのか」「自分は普通ではないのではないか」といった不安を抱えがちです。子どもを望む気持ちと性交渉への抵抗が両立していることも珍しくありません。
10婚活で最も危険なのは「結婚すれば変わる」という期待
婚活現場で繰り返し見てきたのは、相手の性的な価値観が自分の希望と違うと分かっていながら、「結婚すれば変わってくれるはず」「好きなら我慢できるはず」という期待だけで結婚に進んでしまうケースです。この期待は、多くの場合叶いません。
成婚後に価値観の不一致が表面化すると、一方が我慢を重ね、拒絶感や自己否定につながることがあります。これが積み重なると、セックスレス、浮気、離婚といった深刻な問題に発展する可能性もあります。「子どもが欲しいかどうか」だけを確認して結婚を決めるのは不十分で、その過程となる性生活についての価値観も、あわせて確認しておく必要があります。
11性交渉を望まない人は、いつ相手に伝えるべきか
結論として、初対面やプロフィール公開の段階で詳細を話す必要はありません。しかし、相手が結婚を判断する前、遅くとも真剣交際の段階までには伝えることが望ましいといえます。
| 段階 | 伝えるメリット | 伝えるデメリット・注意点 |
|---|---|---|
| プロフィール公開前 | 合わない相手との出会いを避けられる | 詳細すぎる開示は誤解や警戒を招くことがある |
| お見合い前後 | 早期にすり合わせできる | 関係構築前に伝えると重く受け止められることがある |
| 仮交際初期~中盤 | 関係が深まる前に方向性を確認できる | タイミングを逃すと後回しになりやすい |
| 真剣交際に入る前後 | 結婚判断の重要な材料になる | 伝えるのを先延ばしにしがちな時期でもある |
| 成婚後 | — | 相手の人生選択を大きく左右するため避けるべき |
結婚相談所を利用している場合は、直接本人に伝える前に、仲人やカウンセラーを介して価値観を整理し、伝え方を検討する方法もあります。第三者を挟むことで、感情的な対立を避けながら本音を伝えやすくなることがあります。
12相手を傷つけにくい伝え方
伝え方一つで、相手の受け止め方は大きく変わります。以下は伝え方の例です。
「私はエッチが嫌いなので、一生しません。それでもよければ結婚してください」
「私は身体的なスキンシップについて、一般的な人より慎重な部分があります。手をつないだりハグをしたりすることはできますが、性交渉については頻繁には望んでいません。結婚後の夫婦関係に関わる大切なことなので、あなたの考えも聞きながら話し合いたいと思っています」
「結婚後も、夫婦としてお互いを求め合うような関係を大切にしたいと思っています。あなたがどう考えているか、無理のない範囲で聞かせてもらえたら嬉しいです」
「普通」「異常」という言葉で相手を評価するのではなく、自分の希望、譲れない境界線、話し合える余地を、それぞれ分けて伝えることが重要です。真剣交際中に使える質問例としては、「結婚後のスキンシップは、どの程度大切だと思いますか」「性交渉の頻度について希望はありますか」「どちらかが望まないとき、どのように話し合いたいですか」などが挙げられます。尋問のように聞くのではなく、自分の考えも合わせて開示しながら、相互に本音を交換する姿勢が大切です。
13価値観が違った場合、結婚を諦めるべきか
性生活の価値観の違いがすべて致命的というわけではありません。話し合いによって調整できる差もあれば、根本的に埋めがたい差もあります。
| 状況 | 調整可能性 | 注意点 | 推奨する対応 |
|---|---|---|---|
| 頻度の希望に差があるが、どちらも歩み寄れる | 高い | 我慢と妥協を混同しない | 具体的な頻度や方法を話し合う |
| 一方は望み、他方は生涯望まない | 低い | 「結婚すれば変わる」への期待は危険 | 結婚を急がず時間をかけて検討する |
| 妊活期間のみ性交渉に応じられる | 中程度 | 妊活終了後の関係も話し合っておく | 妊活前に将来の見通しも共有する |
| 一方が相手の同意を軽視している | 極めて低い | 同意のない関係は継続すべきではない | 結婚を見送ることも選択肢とする |
「妥協」と「我慢」は違います。妥協は双方が納得したうえで折り合いをつけることですが、我慢は一方だけが不満を抱えたまま関係を続けることです。話し合いを避け続けている、相手の希望を軽視している、同意を不要と考えている——こうした場合は、安易に成婚を勧めることはできません。結婚を見送るという決断も、決して失敗ではありません。
14結婚相談所だからこそできる支援
性生活の価値観は、家族や友人にも話しにくいデリケートなテーマです。結婚相談所では、本人が自分の希望を言語化する手助けをしたり、相手への伝え方を一緒に考えたりする支援ができます。性交渉を望まないことを無理に矯正しようとするのではなく、その価値観と相性の合う相手を探すことも可能です。フォリパートナーでも、こうした価値観の確認を含め、結婚後のミスマッチを未然に防ぐための相談に対応しています。
15まとめ
- 性交渉を積極的に望まない若年女性は一定数存在するが、明確な増加を示す統計はまだ限定的である
- 結婚相談所の現場では、希望を言葉にする女性が増えた感覚がある
- 性交渉を望まないことも、望むことも、それ自体は悪ではない
- 重要なのは結婚前の相互理解と合意であり、希望を隠したまま結婚しないこと
- 性生活も、結婚生活を構成する価値観の一つとして、他の条件と同様に確認する必要がある
性交渉に関する価値観は、恋愛や結婚において後回しにされがちですが、子どもの希望や金銭感覚と同じように、結婚前に確認しておくべき重要なテーマです。
性交痛、過去のトラウマ、強い不安など、医学的・心理的な背景がある場合は、婚活カウンセラーだけで抱え込まず、婦人科、泌尿器科、心療内科、性に関する専門相談機関への相談もあわせてご検討ください。
価値観の伝え方に迷ったら、一人で抱え込まないでください
性生活の価値観は、自分一人ではなかなか整理しにくいテーマです。フォリパートナーでは、こうしたデリケートな価値観の確認も含め、結婚後のミスマッチを防ぐための相談に対応しています。
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