
【第1回】YouTuberヒカルのスピード離婚に見る「エンタメ婚」とは何か?

近年、芸能人やインフルエンサーを中心に、
結婚から短期間で離婚に至るケースが増えています。
YouTuberヒカルさんのスピード離婚も、その流れの中で注目を集めました。
ここでよく使われるようになった言葉が 「エンタメ婚」 です。
エンタメ婚とは、
・話題性
・盛り上がり
・勢い
・ストーリー性
を重視して結婚が進みやすい形を指します。
本人たちが「本気じゃなかった」という意味ではありません。
むしろ当人同士は、その時点では真剣です。
ただし、結婚を「生活」ではなく「イベント」として捉えている点が、従来の結婚と大きく異なります。
婚活カウンセラーとして現場を見ていても、
この「エンタメ婚的思考」は若い世代を中心に、
一般の婚活市場にも確実に広がっています。
■ なぜ今「エンタメ婚」が増えているのか
背景には、いくつかの社会的要因があります。
まず一つ目は、SNS文化の影響です。
恋愛や結婚が、
「誰と結婚したか」
「どんなプロポーズだったか」
「どれだけ祝福されたか」
といった“見せるもの”になりました。
その結果、
結婚=人生の節目
というよりも、
結婚=コンテンツ化できる出来事
として捉えられやすくなっています。
二つ目は、スピード感の加速。
仕事も人間関係も、結果が早く求められる時代です。
恋愛も同様に、
・短期間で盛り上がる
・感情がピークに達したタイミングで決断する
という流れが強くなっています。
エンタメ婚は、
「盛り上がっている今こそが最良のタイミング」
という感覚で結婚に進みやすいのが特徴です。
■ エンタメ婚が失敗しやすい本当の理由
エンタメ婚が問題になるのは、
結婚後に“現実”が始まった瞬間です。
・生活リズム
・金銭感覚
・家族との距離感
・価値観のすり合わせ
・仕事と家庭の優先順位
こうした日常的なテーマは、
盛り上がりの中では後回しにされがちです。
結果として、
「こんなはずじゃなかった」
「一緒に暮らすイメージができていなかった」
というズレが一気に表面化します。
婚活現場でも、
「恋愛としては最高だったけど、結婚生活は想像できなかった」
という声は非常に多く聞かれます。
■ 問題は結婚のスピードではない
ここで誤解してはいけないのは、
スピード結婚=悪ではないという点です。
短期間で結婚しても、
・生活の話ができている
・価値観の衝突を経験している
・冷静な判断ができている
場合は、長く続くケースも多くあります。
問題なのは、
感情の高まりだけで結婚を決めてしまうこと。
これこそが、エンタメ婚の最大のリスクです。
■ 婚活世代が学ぶべきポイント
エンタメ婚の話題を
「芸能人だから」「特別な世界」と切り離すのは簡単です。
しかし、実際には私たちの婚活にも共通する落とし穴があります。
✔ 盛り上がっているから進む
✔ 周囲に祝福されているから安心する
✔ 不安は結婚後に考えればいいと思う
この思考に心当たりがある方は、
エンタメ婚的な判断になっている可能性があります。
次回【第2回】では、
若い世代がエンタメ婚に惹かれやすい深層心理
「本気なのに失敗する結婚」が増えている理由
を、さらに掘り下げて解説します。
【第2回】なぜ若い世代ほど「エンタメ婚」に惹かれてしまうのか|深層心理を読み解く

エンタメ婚が増えている背景には、単なる軽率さや未熟さがあるわけではありません。
むしろ婚活カウンセラーとして感じるのは、若い世代ほど真面目で、結婚を重く考えているからこそ、エンタメ婚に引き寄せられてしまうという逆説です。
まず大きいのが、失敗したくない気持ちの強さ。
現代は、情報が多すぎる時代です。
「結婚で失敗した話」「離婚のリアル」「不幸な結婚生活」など、ネガティブな情報が簡単に目に入ります。
その結果、
・間違った相手を選びたくない
・後悔したくない
という意識が非常に強くなっています。
そこで現れるのが、
「盛り上がっているから正解に違いない」
「周囲が祝福しているから安心」
という判断基準です。
これは論理ではなく、感情と空気に“正解を委ねる”選び方。
エンタメ婚は、選択の責任を自分一人で背負わなくて済むため、心理的にとても楽なのです。
次に、自己肯定感の揺らぎも大きく関係しています。
SNSでは、他人の幸せそうな恋愛や結婚が可視化され続けます。
すると、
「自分も早く幸せ側に行かなきゃ」
「取り残されている気がする」
という焦りが生まれます。
その焦りの中で出会った、
・強い好意を示してくれる相手
・ドラマチックな展開
・周囲が羨む関係
は、とても魅力的に映ります。
エンタメ婚は、「選ばれている自分」「特別な自分」を一気に実感できる装置でもあるのです。
さらに、若い世代ほど、結婚を“完成形”として捉えがちです。
結婚すれば落ち着く
結婚すれば安心できる
結婚すれば不安が減る
そう信じている人ほど、結婚そのものに過度な期待を抱いてしまいます。
しかし現実には、結婚は完成ではなくスタート。
生活が始まり、違いが見え、調整が続きます。
エンタメ婚は、この「スタート後の地道さ」を想像する前に、
完成イメージだけで突き進んでしまう点が危ういのです。
婚活現場でも、
「好きだったし、間違いないと思った」
「結婚したら自然にうまくいくと思っていた」
という声を、スピード離婚を経験した方から多く聞きます。
そこに悪意はありません。ただ、生活の視点が抜け落ちていただけなのです。
では、エンタメ婚を避けるために必要な視点とは何でしょうか。
それは、
・盛り上がっていない時間を想像できるか
・問題が起きたときに話し合う姿が浮かぶか
・一緒に退屈な日常を過ごせそうか
という問いを、自分に投げかけることです。
恋愛が楽しいかどうかではなく、
結婚生活が続きそうかどうか。
この視点を持てるかどうかで、結果は大きく変わります。
次回【第3回】では、
エンタメ婚と「普通の結婚」の決定的な違い
結婚前に必ず確認すべき現実的ポイント
を、具体例を交えながら解説していきます。
【第3回】エンタメ婚と「うまくいく結婚」の決定的な違いとは?

エンタメ婚と、長く続く結婚。
この二つの最大の違いは、「結婚を何として捉えているか」にあります。
エンタメ婚は、
結婚=感情のピーク
結婚=関係の完成
結婚=人生のハイライト
として選ばれやすい。
一方で、うまくいく結婚は、
結婚=生活のスタート
結婚=調整の始まり
結婚=未完成の共同作業
という前提で成り立っています。
この認識の差が、結婚後の満足度に大きな影響を与えます。
■ エンタメ婚に共通する「結婚前のすれ違い」
婚活現場で、スピード離婚につながりやすいエンタメ婚型のカップルには、結婚前に共通する傾向があります。
・喧嘩や衝突をほとんど経験していない
・違和感があっても「好きだから」と流してきた
・現実的な話(お金・生活・家族)を避けてきた
これは仲が良いというより、話し合う準備ができていなかった状態です。
盛り上がっている関係ほど、
空気を壊したくない
嫌われたくない
今は楽しいから触れない
という心理が働きます。
しかし結婚生活では、
話し合いを避けること=問題の先送り
になり、後から必ず大きなズレとして表面化します。
■ 「普通の結婚」は実は一番難しい
うまくいく結婚ほど、見た目は地味です。
・派手な演出はない
・ドラマチックな展開も少ない
・周囲から驚かれることもない
でもその代わり、
・話し合える
・修復できる
・我慢を溜め込まない
という土台があります。
婚活カウンセラーとして多くの夫婦を見てきて感じるのは、
普通に続く関係を築く力こそが、いちばん高度な能力だということ。
エンタメ婚は勢いで進めますが、
普通の結婚は、勇気と現実感が必要です。
■ 結婚前に必ず確認すべき3つのポイント
エンタメ婚を避けるために、結婚前に必ず確認してほしいことがあります。
① 感情が落ち着いたときの関係性
盛り上がっていないときでも、
会話が成立するか
沈黙が苦しくないか
一緒にいて消耗しないか。
② 問題が起きたときの向き合い方
不満を我慢するのか
言葉にできるのか
相手は聞こうとするか。
③ 生活者としての相性
金銭感覚
生活リズム
仕事と家庭の優先順位。
これらはロマンではありませんが、
結婚生活の満足度を左右する最重要項目です。
■ ヒカルのケースから学べること
YouTuberヒカルさんのスピード離婚が注目された理由は、
「有名人だから」ではなく、
多くの人が自分の選択と重ねて見てしまったからです。
恋愛としては成立していても、
結婚生活としては準備が整っていなかった。
これは、誰にでも起こり得ることです。
エンタメ婚は決して他人事ではありません。
■ 婚活中の人が持つべき視点
結婚を考えるときは、
「今、幸せか」ではなく
「この先も幸せでいられそうか」。
刺激より継続
盛り上がりより安定
感情より生活
この視点を持つだけで、
選ぶ相手も、交際の進め方も大きく変わります。
次回【第4回】では、
エンタメ婚に流されないための婚活マインド
婚活で本当に見るべきポイント
を、具体的な行動レベルまで落とし込んで解説します。
【第4回】エンタメ婚に流されないための婚活マインド|結婚前に整えるべき視点

エンタメ婚に陥らないために、いちばん大切なのは
「相手を見る目」よりも、自分の結婚観を整えることです。
婚活カウンセラーとして多くのケースを見てきましたが、
結婚に失敗しやすい人ほど「相手選び」ばかりに意識が向き、
自分が結婚に何を求めているのかが曖昧なまま進んでいます。
エンタメ婚は、
・盛り上がり
・感情の高まり
・周囲の祝福
といった“外側の要因”で背中を押されやすい結婚です。
だからこそ、内側の軸が弱いと、判断を誤りやすくなります。
■ 「結婚したい理由」を言語化できているか
まず自分に問いかけてほしいのは、
なぜ結婚したいのかという問いです。
・年齢的にそろそろ
・周りが結婚しているから
・一人が不安だから
これらは結婚の動機として自然ですが、
このまま進むとエンタメ婚的判断になりやすい。
一方、結婚が安定する人は、
・日常を共有したい
・人生の判断を一緒にしたい
・困ったときに相談できる相手がほしい
といった「生活ベースの理由」を持っています。
感情ではなく、生活の延長線に結婚を置けているか。
これが大きな分かれ道です。
■ 盛り上がりを「確認フェーズ」に使えるか
エンタメ婚が問題になるのは、
盛り上がりを「決断」に使ってしまう点です。
本来、恋愛の盛り上がりは
「この人ともっと深く知り合うためのエネルギー」。
結婚に進む人ほど、盛り上がっている時期にこそ、
あえて現実的な話をしています。
・お金の使い方
・仕事の考え方
・家族との距離感
・将来の住まい
これらの話題を避けずにできるかどうかが、
エンタメ婚かどうかを見極める重要なポイントです。
■ 「違和感」を見逃さない力
エンタメ婚に進んでしまう人の多くが、
結婚前に小さな違和感を感じています。
・話がかみ合わない瞬間
・価値観のズレ
・言葉にしづらい不安
しかし、
「好きだから」
「今は楽しいから」
「考えすぎかもしれない」
と、自分の直感を打ち消してしまう。
婚活で大切なのは、
違和感を否定しないこと。
違和感は、未来のトラブルの予兆です。
■ エンタメ婚を避ける人がやっていること
うまくいく結婚を選ぶ人は、
以下のような行動を自然に取っています。
・交際を急がない
・決断は先延ばしにしない
・不安を言葉にできる
・相手の反応を見る
・「一緒に暮らす」を具体的に想像する
盛り上がりに流されず、
冷静さを失わないことが最大の防御です。
■ 婚活で大事なのは「覚悟の質」
エンタメ婚は、
「今が楽しい」という感情に賭ける結婚。
一方で、うまくいく結婚は、
「この先も向き合う」という覚悟で選ばれます。
どちらも本気ですが、
覚悟の向きが違います。
次回【第5回】では、
エンタメ婚になりやすい人の特徴
婚活中に見直すべき行動パターン
を、より具体的に解説します。
【第5回】要注意|エンタメ婚に陥りやすい人の特徴と、婚活での修正ポイント

ここまで読んでくださった方の中には、
「エンタメ婚って他人事じゃないかも…」
と感じている方もいるかもしれません。
実際、エンタメ婚に進んでしまう人には、
性格の善し悪しではなく“思考のクセ”があります。
ここでは、婚活現場でよく見られる特徴と、その修正ポイントを整理します。
■ 特徴①「好き」という感情を過信してしまう
エンタメ婚に陥りやすい人は、
「ここまで好きになれたんだから大丈夫」
「この熱量は本物に違いない」
と、感情を“保証”のように扱ってしまいがちです。
もちろん、好きという気持ちは大切です。
ただ、結婚生活を支えるのは感情だけではありません。
【修正ポイント】
・好きでも話し合えるか
・好きでも違和感を言えるか
・好きでも冷静に考えられるか
この3点を自分に問いかけてください。
■ 特徴② 関係が壊れるのを極端に恐れる
エンタメ婚タイプの人は、
・嫌われたくない
・空気を壊したくない
・せっかくうまくいっているのに…
という思いが強く、不安を飲み込みがちです。
しかし、結婚生活では
問題を出せない関係ほど壊れやすい。
【修正ポイント】
小さな不満や違和感を、
「今のうちに出してみる」練習を。
相手の反応を見ること自体が、大切な見極めです。
■ 特徴③ 周囲の反応を判断基準にしてしまう
「友達もいい人って言ってる」
「家族も安心してる」
「SNSで祝福されてる」
これらは安心材料にはなりますが、
結婚の決め手にはなりません。
【修正ポイント】
周囲の評価より、
・自分が素でいられるか
・我慢が増えていないか
・会ったあと疲れていないか
という“自分の感覚”を最優先に。
■ 特徴④ 結婚を「不安の解消装置」にしている
孤独、将来不安、年齢への焦り。
それらを解消したくて結婚を急ぐと、
エンタメ婚的判断になりやすくなります。
【修正ポイント】
結婚前に、不安を一人で抱えられる状態を作ること。
「結婚しないと幸せになれない」状態は危険信号です。
■ 特徴⑤ 決断と見極めを混同している
エンタメ婚の人は、
「迷う=悪」
「早く決める=正解」
と思い込みがちです。
実際は、
見極めには時間を使い、決断は先延ばしにしない
このバランスが重要です。
■ エンタメ婚を避ける人がやっている習慣
うまくいく結婚を選ぶ人は、
・感情が落ち着いた状態で判断する
・第三者の意見を“参考”に留める
・結婚後の生活を具体的に言葉にする
・不安を共有できる相手かを見る
派手さはありませんが、
この地味な確認こそが、離婚を防ぎます。
次回はいよいよ最終回【第6回】。
エンタメ婚時代に、後悔しない結婚を選ぶための総まとめ
婚活カウンセラーからの最終メッセージ
をお届けします。
【第6回・最終回】エンタメ婚時代に後悔しない結婚を選ぶために|婚活カウンセラーからの最終メッセージ

ここまで「エンタメ婚」という視点から、
スピード離婚が増えている背景や、
うまくいく結婚との違いを見てきました。
改めてお伝えしたいのは、
エンタメ婚そのものが悪いわけではないということです。
問題なのは、結婚を「盛り上がりの延長」で決めてしまい、
生活としての準備が追いついていないこと。
YouTuberヒカルさんのスピード離婚が多くの人の心に引っかかったのは、
そこに「自分にも起こり得る選択」が重なって見えたからです。
恋愛としては正しかった。
でも、結婚としては別の視点が必要だった。
このズレは、誰にでも起こり得ます。
■ 結婚はイベントではなく「構造」
エンタメ婚は、
・気持ちが高まった
・タイミングが良かった
・周囲が祝福してくれた
という“点”で決断されがちです。
一方で、長く続く結婚は、
・生活リズム
・金銭感覚
・価値観のすり合わせ
・問題解決の仕方
という“構造”で成り立っています。
構造を見ずに結婚すると、
盛り上がりが落ち着いた瞬間に、
「何を支えに続ければいいのかわからない」状態になります。
■ 婚活で本当に見るべき3つの視点
エンタメ婚に流されないために、
婚活中の方に必ず意識してほしい視点があります。
① 安心感が継続するか
楽しいかどうかより、
会ったあとに心身が消耗していないか。
② 不安を出せる関係か
嫌われる覚悟で不安を伝えたとき、
相手は向き合おうとするか。
③ 未来の生活が具体的に描けるか
1年後、5年後、10年後。
特別な日ではなく、何もない平日を想像できるか。
この3つが揃っていれば、
結婚後に大きく後悔する可能性はぐっと下がります。
■ 「冷めない結婚」は存在しない
婚活現場でよくある誤解が、
「ずっとドキドキできる結婚が理想」という考えです。
現実には、
どんな結婚も感情は落ち着きます。
問題は、落ち着いたあとに
「この人となら続けられる」と思えるかどうか。
エンタメ婚は、
感情が落ち着いたあとに残るものが少ない。
うまくいく結婚は、
感情が落ち着いたあとに信頼が残ります。
■ 婚活は「選ばれる」より「選び続ける」
結婚は一度の決断で終わりではありません。
日々、相手を選び続ける関係です。
だからこそ、
盛り上がりより
派手さより
条件より
一緒に現実を引き受けられるかを見てください。
■ 最後に|エンタメ婚時代の婚活で大切なこと
エンタメ婚が増える時代だからこそ、
本質的な結婚の価値は、よりはっきりしています。
・安心できる
・話し合える
・無理をしない
・尊敬が続く
これらは地味ですが、
人生を一緒に生きるうえで最強の条件です。
婚活は、焦らなくていい。
でも、誤魔化さないこと。
結婚は、
「今が楽しいか」ではなく、
「これからも一緒にやっていけそうか」。
エンタメ婚という言葉が広がる今だからこそ、
あなた自身の結婚観を、ぜひ大切にしてください。
フォリパートナー編集部



