DINKsとは何か?
メリット・デメリットや
生活のポイントを完全解説
「子どもはいなくてもいい。ふたりで豊かに生きていきたい」——そんな価値観を持つカップルや婚活中の方からのご相談が、フォリパートナーでも年々増えています。
DINKs(ディンクス)とは「Double Income, No Kids」の略で、共働きで意図的に子どもを持たない選択をしたカップルのことを指します。かつては少数派とされてきたこのライフスタイルが、2020年代に入って急速に注目を集めています。
しかし「DINKsって実際どうなの?」「老後は大丈夫?」「メリットだけじゃないはず…」という疑問も多いはず。このコラムでは、婚活カウンセラーとして数多くの夫婦の選択に寄り添ってきた経験と、各省庁・研究機関の公式データをもとに、DINKsのすべてを徹底解説します。
DINKsとは?
正確な定義と増加の背景
DINKsは「Double Income, No Kids」の頭文字を取った造語です。1980年代のアメリカで生まれ、日本には1980年代後半〜90年代初頭に広まりました。直訳すると「二収入・子なし」、つまり夫婦ともに働きながら、意図的に子どもを持たない選択をした共働き夫婦のことを指します。
DINKsには以下の条件が揃っていることが前提とされます。
① 夫婦ともに収入を得ている(共働き)
② 意図的に子どもを持たない選択をしている
③ 不妊などの医学的理由ではなく、自らの意思による選択であること
ただし近年は、定義が緩やかになり「子どもを持たない共働き夫婦全般」を指す使われ方も増えています。
なぜ2020年代にDINKsが増えているのか
DINKsが注目される背景には、日本社会の構造的な変化があります。主な要因を整理すると以下のようになります。
出典:総務省労働力調査・厚生労働省国民生活基礎調査・出生動向基本調査・人口動態統計をもとに構成
特に注目すべきは、30代女性の就業率が2023年に82%を超えたという事実(総務省労働力調査)。女性がキャリアを持つことが当たり前になった社会では、「結婚=育児=キャリア中断」という旧来の方程式が成立しにくくなっています。その結果として、子どもを持たないという選択が現実的な一手となってきたのです。
さらに厚生労働省「2021年国民生活基礎調査」によると、夫婦のみの世帯数は2021年時点で1,271万4,000世帯に達し、1986年(540万1,000世帯)の約2.4倍にまで増加。全世帯の約10%以上が夫婦のみの世帯という計算になります。
データで見るDINKs
——日本の現状
では実際に、日本にどれくらいDINKsがいて、どのような経済状況にあるのでしょうか。公的データをもとに見ていきましょう。
(2021年・全世帯の約10%)
(1977年8.1%から増加)
(片働き635万円比+196万円)
子どもがいる世帯の平均(1,540万円)と比べ、約481万円多い。子育て費用がない分、資産形成に有利な条件が整っている。
DINKsの世帯年収はどのくらい?
総務省「2023年家計調査報告(二人以上の世帯)」では、共働き世帯の平均世帯年収は約831万円。一方、片働き世帯は約635万円で、約200万円近い差が生じています。さらに、夫婦どちらかが大企業勤務だったり昇格が続いたりすると、世帯年収が1,000万〜1,400万円に達するケースも珍しくありません(東洋経済オンライン・FP試算より)。
子育て費用(文部科学省の試算では幼稚園〜大学まで私立の場合1人あたり約2,000〜3,000万円)が不要なDINKs世帯は、その分を旅行・趣味・資産形成・住宅購入などに充てることができます。金融資産保有額の差(子あり世帯比+約481万円)がそれを如実に物語っています。
DINKsの6つのメリット
DINKsというライフスタイルには、多くの具体的なメリットがあります。感情論ではなくデータと現場の知見をもとに、6つのポイントを整理します。
子育て費用(2,000〜3,000万円)が不要なため、資産形成・趣味・旅行に充てる資金が豊富
女性が産休・育休・時短勤務によるキャリアロスなしに働き続けられる
お互いの趣味・自己投資・夫婦の時間を優先できる生活が送れる
子育てによるパートナーへの注意分散がなく、ふたりの絆を深めやすい
学区を考慮する必要がないため、仕事や生活スタイルに合わせた住まい選びができる
育児疲れがなく、自分自身のメンタルヘルスと体調管理に集中できる
子どもや孫による精神的サポートがなく、老後の孤立が課題になりやすい
老々介護になった場合に子どもへ頼れない。施設入居費の準備が必須
子がいないため、遺産相続の手続きが複雑になるケースがある
どちらかが「やっぱり子どもが欲しい」と考えが変わる可能性がある
親族・職場からの「まだ子どもは?」という問いかけへの対処が必要
メリット①:経済的な余裕——数字で見るとどのくらい違う?
DINKsの最大のメリットとして多くの人が挙げるのが「経済的な余裕」です。文部科学省の調査では、子ども1人を幼稚園から大学まで育てる場合のトータルコストは以下の通りです。
出典:文部科学省「子供の学習費調査」・日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査」をもとに構成
DINKs夫婦がこの費用を老後の資産形成や生活の質向上に充てることができれば、年間100〜150万円を30年間運用した場合、複利効果で数千万円規模の資産差が生まれる可能性があります。経済的な余裕は単にお金の問題ではなく、精神的な安定・選択肢の多さ・夫婦関係の豊かさにも直結します。
メリット②:女性のキャリア継続
厚生労働省「雇用均等基本調査」によると、第一子出産後に就業を継続できた女性の割合は2022年時点で約69%(正社員)。しかし実際には昇進・昇給スピードの低下や職場での役割変化も生じており、キャリアの「見えないロス」は統計以上に大きいと多くの女性が感じています。DINKsを選ぶ女性の多くが、「キャリアを諦めたくなかった」を主要な理由に挙げています。
メリット③:夫婦ふたりの時間
国立社会保障・人口問題研究所の調査では、子育て中の夫婦の「夫婦だけの時間」は週平均2〜3時間程度という調査結果があります。一方、DINKs夫婦は平日でも夜の時間・週末の過ごし方を自由に設計でき、旅行・趣味・食事・学習などをパートナーと共に楽しむ時間が豊富です。これが夫婦関係の充実に直結するという意見も多くあります。
DINKsの5つのデメリット・リスク
DINKsには大きな魅力がある一方、見落としてはいけないリスクも存在します。「今が楽しければいい」だけでなく、10年後・20年後・30年後を見据えた視点でデメリットを理解しておくことが重要です。
デメリット①:老後の孤独と社会的孤立
内閣府「高齢者の生活と意識に関する国際比較調査」では、日本の高齢者は他国と比べて「孤独を感じる」割合が高い傾向があります。子どもや孫との交流が精神的支えになるケースは多く、DINKsはその交流機会を持ちにくいという現実があります。老後の孤独対策を意識的に設計することがDINKsには特に重要です。
デメリット②:介護・医療の問題
厚生労働省「国民生活基礎調査(2022年)」では、要介護者の主な介護者のうち「子ども」が約46.3%を占めます。DINKs夫婦は、互いが介護が必要な状態になった際に「老々介護」になるリスクがあります。施設入居費(有料老人ホームの入居一時金は数十万〜1,000万円以上)の準備が不可欠です。
- !老々介護リスク:配偶者が先に要介護状態になった場合、子どもに頼れない。早期からの施設費用の積み立てが必要。
- !孤独死・孤立リスク:パートナーと死別した後の孤立問題。コミュニティへの所属と社会的つながりの維持が重要。
- !相続・遺産の複雑化:子がいない場合、配偶者が亡くなると遺産が兄弟姉妹に分配されるケースもある。遺言書の作成を早期に検討すること。
デメリット③:心変わりのリスク
「DINKsを選んだはずなのに、どちらかが子どもを望むようになった」という相談は、フォリパートナーにも年間数件あります。特に30代後半〜40代前半に価値観が変わるケースが多く、この「心変わり」は夫婦関係に深刻なひびを入れることもあるリスクです。定期的なライフプランの確認と対話が予防になります。
デメリット④:社会的・家族的プレッシャー
日本社会では「結婚=子どもを産む」という価値観がまだ根強く残っています。親族からの「孫はまだ?」「子どもを持たないのはもったいない」という言葉への対処は、DINKs夫婦にとって継続的なストレスになり得ます。夫婦間で同じ言葉・態度で返せるよう、外部への対応を事前にすり合わせておくことが大切です。
デメリット⑤:税制・社会保障上の不利
日本の税制・社会保障制度は「子育て支援」を前提に設計されている部分が多く、DINKs世帯が受けられる公的支援は相対的に少ない側面があります。児童手当・教育費の税控除・育児関連の給付金は受け取れません。自分たちで老後資金を賄う必要があることを念頭において、資産形成を早期から開始することが求められます。
DINKsと婚活
——「子なし希望」をどう伝えるか
婚活においてDINKsを希望する人が直面する最大の課題は、「子どもを持たない意思を、いつ・どのように相手に伝えるか」という問題です。フォリパートナーの20年の経験から見えてきた、婚活現場のリアルをお伝えします。
出典:IBJ「婚活実態調査」2024年(結婚相談所会員を対象とした調査より構成)
IBJの調査では「子どもを欲しくない」と明確に回答する婚活参加者は約14%。一方「どちらでもよい」が約24%おり、この層はパートナーの意向によってDINKsの選択をする可能性があります。つまり、DINKsを希望する人が婚活で見つけられる潜在的な相手は決して少なくないといえます。
「子なし希望」を伝えるベストなタイミング
婚活でDINKsを希望する場合の注意点
- ✓「子どもはいらない」と断言的に言いすぎない——まず相手の価値観を聞いてから、自分の考えを伝える姿勢が大切です
- ✓理由を丁寧に説明できるようにしておく——「なぜ子どもを持たないのか」をポジティブな視点で語れると相手に伝わりやすい
- ✓「どちらでもよい」の相手には慎重に——曖昧な返答をする相手とは、真剣交際前に必ずすり合わせを行いましょう
- ✓価値観の一致を最優先に——子どもの有無は結婚後に変えられない最重要項目のひとつ。妥協してはいけないラインです
DINKsが知っておくべき
生活設計の5つのポイント
DINKsの生活を豊かに・安心して送るためには、「ふたりで意識的に設計する」ことが不可欠です。フォリパートナーがDINKsカップルのカウンセリングで繰り返し伝えている5つの生活設計ポイントを紹介します。
具体的な対策として、NISA・iDeCo・不動産投資など複数の手段を組み合わせることをお勧めします。共働きで収入が安定している20〜30代のうちから始めることが最大の武器です。
老後・お金・介護
——DINKsのリアルな課題と対策
DINKsが長期的に幸福な生活を送るためには、老後の具体的な課題と向き合う必要があります。データとともに、現実的な対策を整理します。
月平均支出(税・社保含む)
老後資金の目安(年金差引後)
「子ども」の割合
老後資金シミュレーション
介護・老後の具体的な対策
- 1民間介護保険への加入を検討:公的介護保険だけでは賄えない費用(有料老人ホームの入居一時金など)に備えるため、40代までに加入しておくと保険料が安い
- 2身元保証サービスの利用:入院・施設入居時に必要な身元保証人を代行するサービスが近年充実。早めの調査・登録をお勧めします
- 3任意後見制度の活用:認知症などで判断能力が低下した場合に備え、信頼できる人を後見人に指定しておける制度。夫婦間で相互に設定することも可能
- 4「サービス付き高齢者住宅」の事前リサーチ:老後の住まいとして、見守りサービス付き高齢者住宅を早期から候補に入れておくと精神的な安心感が生まれる
- 5NISAとiDeCoを最大活用:非課税枠を活かした長期分散投資で、老後資金の自助努力を最大化する
DINKsを選ぶ前に
確認すべき5つの問い
DINKsという選択は、どちらか一方が「なんとなく合わせた」ものではなく、ふたりが心から納得した上で選ぶものであるべきです。フォリパートナーがカウンセリングで必ず確認する5つの問いを紹介します。
カウンセラー20年の視点:
DINKsという選択について
最後に、婚活カウンセラーとして20年以上、数多くの夫婦の選択に寄り添ってきた立場から、DINKsについて思うことをお伝えします。
「DINKsは正しい選択か?」への答え
よく「DINKsを選んで後悔しませんか?」という質問を受けます。答えは明確です。「ふたりで心から納得して選んだDINKsは、後悔しない」。しかし「なんとなく選んだ・相手に合わせた・面倒を避けた」という動機のDINKsは、後々問題が生じやすい——これが20年の現場での一貫した実感です。
子どもを持つ・持たないという選択に、正解も不正解もありません。大切なのは、その選択が「ふたりの価値観の一致から生まれたものであるか」です。婚活においても、DINKsを希望する方が「条件として明示する」ことは誠実さの表れであり、価値観の合う相手に出会うための重要なフィルタリングでもあります。
反対に、DINKsで後悔するケースの多くは、どちらか一方が本当は望んでいたのに言えなかったか、将来について具体的に話し合っていなかったかのどちらかです。婚活中の方は、相手に対してDINKs希望を隠すことなく、早い段階で率直に話し合ってほしいと思います。」
まとめ
DINKsとは「Double Income, No Kids」——意図的に子どもを持たない選択をした共働き夫婦のライフスタイルです。2020年代の日本では、女性の就業率向上・子育てコストの増大・価値観の多様化を背景に、着実に増加しています。
- 1DINKsの定義:共働きで意図的に子どもを持たない夫婦。夫婦のみ世帯は2021年で1,271万世帯(全世帯の約10%)
- 2経済的優位性:金融資産は子あり世帯より平均481万円多く、共働き年収は平均831万円(総務省2023年)
- 3老後への備えが必須:必要老後資金の目安は3,000万円以上。NISA・iDeCo・介護保険の活用を早期から
- 4婚活では早期の意思表示:「子なし希望」はプロフィール段階か仮交際初期に正直に伝えることがミスマッチ防止の鍵
- 5生活設計の5本柱:お金・関係性・住まい・法律・コミュニティの設計が豊かなDINKsライフの基盤
DINKsという選択に正解・不正解はありません。大切なのは、ふたりが同じ方向を向いて、具体的なビジョンを持って選んだかどうかです。婚活中の方も、すでにパートナーとの話し合いを始めている方も、まずは「ふたりの未来をどう作りたいか」をじっくり話し合うことから始めてみてください。
フォリパートナーでは、DINKsを希望する方・パートナーとライフプランを話し合いたい方へのカウンセリングも承っています。「どう伝えればいいか」「価値観の合う相手を見つけたい」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。
大切なのは「価値観の一致」
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参考文献・データ出典
- 厚生労働省「2021年国民生活基礎調査の概況」
- 厚生労働省「出生動向基本調査2015年・2021年」
- 厚生労働省「国民生活基礎調査2022年(介護者統計)」
- 総務省「労働力調査(2023年)」
- 総務省「家計調査報告(家計収支編)二人以上の世帯 2023年」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査 2021年」
- 文部科学省「子供の学習費調査」
- IBJ「婚活実態調査2024年(結婚相談所会員調査)」
- フォリパートナー カウンセリング実績・成婚者アンケート(2020〜2025年)



