
【第1回】婚活で“割り勘”はアリ?ナシ? 価値観のズレが致命傷になる理由とは

今もなお続く「奢るか割り勘か」論争
婚活の現場で、何度も繰り返される議論──それが「デート代は奢るべきか、割り勘にすべきか」というテーマです。この問題は、ただのお金の話ではありません。そこには価値観、育ってきた環境、結婚観までが色濃く反映されているため、たった1回の支払いタイミングで交際が終了してしまうことも。
特に、30代以降の婚活女性からは「割り勘だったから即お断りした」という声も多く聞こえてきます。一方で、男性側は「初対面でいきなり奢りを当然と思われるのはつらい」という本音も。果たして、現代婚活において“割り勘”は本当にNGなのか──。
まずは、この問題がなぜここまで根深くなるのかをデータと共に紐解いていきましょう。
【データで見る】割り勘・奢りに対する男女の意識差
「マッチングアプリ大学」が2023年に行ったアンケートによると、初回デートで「男性が全額支払うべき」と答えた女性は約45%。一方、「割り勘でも問題ない」とする女性は約35%と、年々増加傾向にあることがわかっています。
しかし注目すべきは、年代によってその考えに差がある点です。
20代女性:割り勘容認派が多く、経済的自立意識が強い
30代女性:割り勘に対して慎重。将来を見据え「思いやりのある対応」を重視
40代女性:割り勘NG派が多く、男性の“経済力と包容力”を求める傾向
また、男性側では30代以降になると「婚活疲れ」や「経済的負担の大きさ」から、「毎回全額出すのは厳しい」と感じている人が少なくありません。こうしたギャップが、交際発展の障害になっているのです。
【第2回】なぜ“割り勘=悪”と判断されるのか?

たとえば──
割り勘でも「今日はありがとう、次は出させてね」と言ってくれた → 好印象
奢りでも「じゃ、払っとくわ」とだけ言って終わり → 残念な印象
つまり、金額よりも「どういう気持ちで支払っているか」「その気持ちが伝わるか」が大切なのです。
“奢られ慣れ”女性と“損したくない”男性のすれ違い
婚活市場には、「奢られて当然」という感覚を持つ女性も一定数存在します。20代女性でハイスペック男性との交際経験が多い層では、その傾向が顕著です。
一方、男性側にも「初対面の女性に高額を出すのはリスク」と考えるタイプが増えています。特にマッチングアプリや相談所で複数人と並行して出会う婚活スタイルでは、1回1回のデートコストが重くのしかかります。
この「お金を払う=好意の表現」という構造が、現代婚活では機能しにくくなっているのが実情なのです。
「平等主義」の時代に、なぜ“奢る・奢られる”が問題になるのか?
現代は男女平等が浸透してきた時代です。女性も働き、経済的に自立している人が増えています。しかし、「奢ってほしい」と感じる女性は依然として多く、特に婚活の場面ではその傾向が顕著に出ます。なぜなら、「奢ってくれる=自分に対する誠意・優しさ・経済力のアピール」と捉えられるからです。
一方で男性側の本音は複雑です。「最初から毎回奢ってたら金がもたない」「そこまで惚れてない相手に出したくない」といった心理も当然ながら存在します。恋愛初期の「立ち位置確認」として、奢るか割り勘かは両者にとって非常にセンシティブな判断材料になるのです。
【第3回】年代別に見る「割り勘・奢り」への価値観の違い【女性編】

20代女性:まだ夢を見ている…“奢られたい”願望は根強い
20代女性は恋愛にも理想を抱いている層が多く、「デート代を出してもらうのが当然」という価値観が残っています。特に、出会いアプリやマッチングアプリでの出会いでは、“いい男かどうか”を見極めるために、奢るかどうかをテストしているケースもあります。
とはいえ、ここで割り勘をされたからといって即“ナシ判定”にする女性は、やや幼稚な恋愛観のまま婚活をしている可能性も…。この層は、奢り=誠意という短絡的な見方を改め、総合的な人間性で判断する視点が求められます。
30代女性:「奢られたいけど、負担も理解できる」複雑な心情
30代女性になると、社会経験も増え、相手の経済状況への理解も深まります。とはいえ、「初回は奢ってほしい」という思いは残るため、“初回は奢り、2回目以降は気遣って割り勘”というバランスを取る女性も少なくありません。
ここで重要なのは、割り勘にしたとしても“お礼の仕方”や“出す素振り”を見せること。相手への配慮ができる女性は、男性側にも好印象を与えるため、結果的に成婚率も上がる傾向にあります。
40代女性:対等な関係性を求める現実派
40代女性は「奢ってもらうこと」にあまり固執しなくなる傾向があります。むしろ「割り勘=気楽で対等」と考える人も多く、金銭的な依存を避けたい、という気持ちが見え隠れします。
またこの年代は、過去に恋愛や結婚を経験している人も多く、金銭感覚が成熟しているため、“奢られないから冷たい”といった感情的な判断をすることは少なくなります。現実を冷静に見極める視点が、40代女性の強みとも言えるでしょう。
【第4回】年代別に見る「割り勘・奢り」への価値観の違い【男性編】

20代男性:「経済的余裕がない」からこそ悩む奢り問題
20代男性は、まだ収入が安定していない時期。月収が20万円前後で、家賃や生活費を払ったら、デートに回せるお金は限られています。それでも「初回は男が奢るべき」という世間の風潮や、女性の期待に応えようと無理をしてしまうことも。
一方で、「割り勘でも気まずくない女性と付き合いたい」という気持ちもあり、本音と建前のギャップに苦しむ男性も多くいます。20代男性にとっては、奢るか割り勘かは、相手女性の価値観を見極める重要なバロメーターでもあるのです。
30代男性:「奢りは当然」というプレッシャーと、打算の間で揺れる
30代男性は収入が安定し始める時期で、「男らしく奢る」ことにあまり抵抗を感じない人が増えます。ただし、それが“好意のバロメーター”と勘違いされることに違和感を持つ男性も多いのが事実。
特に婚活では、相手の“条件目当て”を警戒するようになり、「自分の収入や奢りが目当てなのか?」と探る心理が働くことも。「毎回当然のように奢らせる女性」に対しては、距離を置く男性が増える傾向にあります。
また、奢ることを“投資”と考え、「この子と結婚に進展するなら出す価値あり」と冷静に判断している男性も増えています。つまり、奢りかどうかは“結婚を見据える真剣度”の表れにもなるのです。
40代男性:「奢り慣れている」が、相手選びはよりシビアに
40代男性は経済的にも余裕があり、奢ること自体に抵抗はほぼありません。むしろ「払うのが当然」という価値観を持っている人も多く、スマートに支払いを済ませて女性に好印象を与えることに長けています。
ただしその反面、「奢られることが当然」という態度の女性には厳しく、感謝や気遣いがないと判断すれば次はないというシビアさも。長年の経験から、相手の人間性を奢りの場面でしっかり観察しています。
婚活市場ではこの年代の男性は人気が高く、奢りという行為だけでは女性からの評価は得られません。“どう奢るか”“どう接するか”の総合力が求められるのが40代男性の婚活と言えるでしょう。
男性も“奢ることで試される”時代
かつては、男性が奢るのが当然とされていましたが、今は「奢った結果、何が返ってくるのか?」を気にする時代。特に婚活では、「奢る=見返り前提」のように思われるのを嫌がる男性も多くいます。
一方で「奢られたら、ちゃんと感謝の気持ちを伝える」だけで、次の交際に繋がる可能性はぐんと上がります。つまり、“割り勘 or 奢り”そのものよりも、“その時どうふるまうか”の方が大切なのです。
【第5回】男女の“奢り・割り勘”に対する誤解とすれ違い

よくあるすれ違い①:男性「気持ちよく奢りたい」vs女性「当たり前と思われたくない」
「男性は奢りたい」「でも女性は気を遣ってしまう」――このギャップは、実は非常に根深いものです。男性側としては、スマートに支払うことで自分の誠意や余裕を伝えたいと思っていても、女性側は「遠慮すべき」「恩着せがましく思われたくない」と気を張ってしまいます。
中には「割り勘希望と言っても、実際は奢ってくれないと“男らしくない”と判断されるのでは?」と不安に感じる女性も。一方男性は、「気持ちよく奢っているのに、“当然”の顔をされると冷める」というジレンマを抱えているのです。
よくあるすれ違い②:女性「奢る=本気度の表れ」vs男性「奢る=見返りを求めてると思われたくない」
多くの女性は「初デートで奢ってくれた=真剣に考えてくれている証拠」と感じやすい一方で、男性は「奢ったことで変に期待してると思われたら嫌」と悩むケースも。ここにも、お互いの“意図”の誤解が生じやすくなっています。
「本気なら奢るはず」「割り勘だったから脈ナシ?」と女性が思っても、実際には収入や過去の経験から“割り勘にしているだけ”ということも多く、そこを理由に切ってしまうのは早計と言えるでしょう。
【第6回】円満にするための“奢り・割り勘”の歩み寄りポイント

【1】初デートの支払いは「形式より空気感」を大切に
初回デートでは、たとえ割り勘でも「支払いに感謝する」「スマートな振る舞いをする」ことが大切です。逆に、どれだけ全額支払っても、会計時に気まずい空気や不快感が漂えば、マイナス評価に繋がります。
「えっ、奢ってくれないの?」という顔をされるよりも、「ご馳走様です。次は私がコーヒーでも」と返せる女性の方が、圧倒的に印象が良いことは明白です。
【2】2回目以降は“持ちつ持たれつ”を意識
関係が少し進んできたら、「どちらかが常に奢る」ではなく「今回は私が」「次はあなたが」といった自然なやりとりができると、対等で良好な関係が築けます。
たとえば、食事は男性、カフェは女性。あるいは、車を出した側が食事を奢ってもらう、など“役割の交換”ができれば、お互いに納得感が得られやすくなります。
【3】価値観のすり合わせは早めに
「奢り文化」についての価値観は、人によって大きく異なります。だからこそ、早めに話しておくことで“地雷”を避けることができます。
結婚相談所では、交際の初期段階から金銭感覚について話題にすることも多く、「金銭感覚が合うか」を見極める材料になっています。マッチングアプリでも、話題の流れでさりげなく話してみるのはおすすめです。
【4】“お金”のやり取りこそ、価値観の真価が現れる
奢るかどうかという行動以上に大切なのが、「相手の人柄がどう見えるか」。たとえ1,000円の支払いでも、「ありがとう」の一言があるかないかで、印象は天と地ほど変わります。
婚活で重要なのは、奢るか割り勘かの正解を探すことではなく、その場での“感謝”と“気遣い”です。これは結婚後の家計運営にも通じる「相手と向き合う姿勢」と言えるでしょう。
結婚を見据えた「金銭感覚」の合わせ方
結婚後に揉める“お金の価値観ズレ”は、婚活中から始まっている
交際時は気にならなかったけれど、いざ結婚してみると「え、こんなに使うの?」「え、こんなに節約するの?」と金銭感覚のズレでストレスを感じる夫婦は非常に多いです。
実はこの“ズレ”、交際初期のデートで見えていることが少なくありません。たとえば、
・毎回高級ディナーを奢ってくれるが、実は見栄で無理していた
・節約家すぎてデートでも全くお金をかけない
こうした行動の裏には、その人の「お金への考え方」や「結婚後の金銭観」が色濃く現れています。
「奢る・奢られ」は習慣ではなく、“将来の生活”の試金石
結婚生活では、お金のやりくりが非常に重要です。
1. 価値観が合わないと家計管理が難しい
2. 共働き・専業主婦(主夫)のバランスで揉める
3. 趣味・交際費・教育費の優先度が噛み合わない
たとえば、「収入に関係なく男性が常に奢るべき」という考えの女性と、「家計は折半が当たり前」という考えの男性では、生活スタイルや将来設計に対する温度差が大きくなります。
そのため、“誰が奢るか”に一喜一憂するよりも、“どう向き合ってくれるか”を見ることが婚活では非常に重要です。
【第7回】【年代別】結婚を見据えた「お金の話」への踏み込み方

20代婚活男女の場合:奢る/奢られるよりも「未来の可能性」を話そう
20代はまだ収入が安定しておらず、将来の見通しも曖昧なケースが多いです。その分、お金の使い方や考え方が多様なので、「今は割り勘でも、将来こうしていきたい」という話ができると、より信頼を得られます。
▶ 例:「今は収入が少なくて割り勘が多いけど、将来は安心させられるようになりたい」
▶ 例:「今のうちにお互いの価値観を擦り合わせて、将来の家計像を考えたい」
30代婚活男女の場合:お金の使い方=人生の優先順位
30代になると、ある程度の経済的な基盤ができており、「どこにお金を使うか」の考え方が結婚後にも直結します。
たとえば、旅行や外食に重きを置く人もいれば、将来の住宅購入や教育費に重きを置く人も。
▶ デート中のお金の使い方=その人の人生観を表す鏡
だからこそ、30代では“奢るか割り勘か”よりも、“この人はお金をどこにどう使う人なのか”を観察しましょう。
40代婚活男女の場合:現実的な家計計画の擦り合わせを
40代になると、収入や貯蓄の差も大きくなり、結婚後の生活に直結する話が増えます。
たとえば、
子どもを望むかどうか
持ち家か賃貸か
共働きか扶養か
これらの方向性が違うと、奢る・割り勘どころではなく、根本的な生活設計が揺らぎます。
婚活の場では、「今後、家計をどう管理していきたいか」という話題を真剣に交わせる相手こそ、パートナー候補です。
結論:奢るかどうかで判断しない。“その人の誠意”を見抜くことが婚活成功の鍵
婚活での「奢り奢られ問題」は、単なるお金のやり取りではなく、“人間性”や“将来の家計観”を見抜くためのヒントに過ぎません。
奢ってくれる=誠意があるとは限らない
割り勘=ケチとは限らない
支払いの場面で「感謝できる人か」「対等に付き合おうとする人か」「無理のないスタイルを選んでくれる人か」――そういった人間としての誠実さが、婚活の勝敗を分けるのです。
最後に:割り勘も、奢りも、選ぶのは“あなたの未来を大切にしてくれる人”

あなたが心から安心できる相手を選ぶために、「お金の話」から逃げず、でも恐れずに、未来のパートナーを見極めてください。
フォリパートナー編集部